これまで普通の自転車(以下、二輪自転車)に乗っていたものの、転倒が怖くなり使わなくなった方は、移動範囲が狭まっているのではないでしょうか。
そのような方におすすめしたいのが三輪自転車です。三輪自転車は二輪自転車とよく似ていますが、大きな違いは後輪(うしろタイヤ)が2つあることです。
三輪自転車はまだメジャーとはいえず、「見たことがあっても自分で使いたいと思ったことはない」という人も多いかもしれません。そこで本記事では三輪自転車の利便性と選び方のポイントを解説します。
| ※なお、三輪自転車にも二輪自転車と同じように電動アシスト付きのモデルがありますが、ここでは電動アシストなしの三輪自転車を中心に紹介します。 |

まずは三輪自転車がどのような乗り物なのか、二輪自転車と比べながら特徴の違いを確認していきます。
三輪自転車も基本は自転車です。運転者はサドルに座り、足でペダルをこいで前進します。つまり乗り方は二輪自転車と同じです。
三輪自転車の最大の特徴は、3つのタイヤで地面に接して自立できることです。
これにより停止中でも安定しやすく、二輪自転車のように足をすぐ地面につかなくても倒れにくい特性があります。
ただし絶対に倒れないというわけではなく、段差や急なカーブでは転倒の可能性もあるため注意が必要です。
三輪自転車は積載性の高さが魅力です。前かごに加えて後輪の間に大きめのかごが備えられている事が多いため、二輪自転車より多くの荷物を積めます。
後ろかごは構造的に安定しており買い物や荷物運搬に便利です。
見た目の大きさや重量から「漕ぐのが大変そう」と思われがちですが、実際には二輪自転車と同程度の力で漕げることが多いです。
ただし車体そのものは重いため、押して歩く場面では取り回しに力が必要になることがあります。
多くの三輪自転車には「スイング機能」と呼ばれる仕組みがあります。
これは車体を左右に傾けられる機能で、二輪自転車のように自然にカーブを曲がれるようにするもの。
スイング機能がない三輪自転車だと、早スピードで曲がる際に不安定だったり曲がりにくさを感じる場合がありますので、選ぶ際には重要なポイントになります。

三輪自転車の「ココが便利だな」と感じるメリットは次の3点です。
二輪自転車に普通に乗れる人でも三輪自転車に乗り換える人がいます。それは積載量が大きくなるからです。
前輪上部にある前かごと、後輪上部にあるうしろかごには、大量の荷物を載せることができます。

二輪自転車では不安定になりがちな量でも、三輪自転車ならしっかり積めて運転時にバランスを崩す心配がありません。
もちろん自動車並みとはいきませんが、二輪自転車では不安定であきらめなければならなかった買い物も、三輪自転車なら軽々こなすでしょう。
三輪自転車も絶対に倒れないわけではないので注意は必要ですが、二輪自転車よりははるかに倒れにくい特性があります。
停止状態でも両足をペダルの上に置いておけますし、走行から停止してもすぐに足を地面につく必要はありません。
この倒れにくさは二輪自転車では実現できないものであり、転倒が恐いから三輪自転車を選ぶ人がいるくらいです。
利便性のなかで意外に重要なのが、三輪自転車を二輪自転車のように使えることです。
三輪自転車は、二輪自転車と比べると幅広にはなりますが、それでも乗り物としてはコンパクトなのでスイスイ走ることができます。
駐輪スペースも最小で済むので近所であれば「行けないところはない」といえるでしょう。
三輪自転車の使い勝手が二輪自転車とほぼ同じなので、これまで二輪自転車を使っていた人が三輪自転車に移行しても違和感はないはず。
その結果、二輪自転車によって確保できていた広い生活圏もそのまま維持できます。
万能にみえる三輪自転車にも欠点はあります。
三輪自転車の購入を検討する場合は以下の3つのデメリットを考慮してみてください。
二輪自転車の場合、安いものなら1万円台で購入できますが、三輪自転車は5万円以上が一般的で、10万円を超えるモデルも多くあります。
三輪自転車は、二輪自転車と比べると、部品点数が多く機構が複雑なのでどうしても製造コストが増し販売価格が高くなってしまうのです。
三輪自転車はペダルを軽くこぐことはできますが、構造上スピードは出にくく、車体が重いため加速も緩やかです。
速く移動する必要がある人にとって三輪自転車の遅さは致命的なデメリットになるでしょう。
三輪自転車は速さよりも安定性や積載性を重視する方に向いています。
二輪自転車で転倒する危険がある人には、積極的に三輪自転車をおすすめできるわけですが、三輪自転車が絶対に転倒しないわけではないので過信してはいけません。
三輪自転車は二輪より安定しますが、四輪のように完全ではありません。特にカーブでの遠心力や段差で転倒の可能性があるため、油断は禁物です。
| ちなみに三輪自転車よりも安定性の高い四輪自転車も存在はしますが、こちらは三輪自転車以上の超マイナーな存在で価格も一気に高くなります。 |
三輪自転車の利便性とデメリットを確認できたところで、自分に合う三輪自転車の選び方を紹介します。
最初に確認したいことは、自分が三輪自転車に向いているのかどうかです。
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上記条件に当てはまる人は三輪自転車が向いているので次に進みましょう。

自分が三輪自転車に向いていることを確認できたら、自転車販売店に行って試乗させてもらいましょう。
これまで二輪自転車に乗る機会が多かった人ほど、三輪自転車の本体重量の重さや走行スピードの遅さ、操作性に違和感を持つはずです。
試乗ではさらに、スイング機能を使って走行中に車体を左右に傾けてみてください。このスイング機能による左右の傾きは二輪自転車の走行時の車体の傾きとは異なるように感じられるでしょう。
試乗によってこれらの違和感に慣れることができると確信できれば「買ってもよい」といえます。
ポイントは違和感それ自体ではなく「この程度の違和感ならすぐに克服できそうだ」と感じることができるかどうかです。

走行と取り回しをわけて考えてください。 二輪自転車に問題なく乗れている人は、三輪自転車も問題なく走らせることができるでしょう。
しかし取り回しとなると話が違います。 取り回しとは駐輪場から三輪自転車を出したり、急な登り坂を押して歩いたりすることです。
取り回しの確認も自転車販売店で体験できます。自転車販売店の駐車場などで三輪自転車を押したり引いたりしてみてください。

三輪自転車は二輪自転車より軽快さがないことは事実です。車体は重くなりますしスピードも出ません。
しかしその分、三輪自転車は安定性が増すことに加えて積載性が向上しているのが魅力の自転車といえます。
二輪自転車に不安を感じるようになった方にとって、三輪自転車は生活範囲を広げ、安全に移動できる心強いパートナーとなるでしょう。
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