シニアカーの選び方と最新モデル紹介

駐車場もシニアカーでスイスイ進むことができます

歩行が少し難しくなったシニアの方の外出を助ける電動の乗り物、シニアカーは日々進化を続けています。

シニアカーがより便利な乗り物になったことは喜ばしいことなのですが、種類が増えたことで自分に合った製品を選ぶことが難しくなったと感じている人もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、シニアカーの選び方と最新モデルを紹介します。

シニアカーを選ぶときのポイント

シニアカーは、電動車いす、歩道のスクーター、電動カート、セニアカーなどと呼ばれることもあります。

この記事では、シニアなどの歩行が少し難しくなってきた人用につくられた、免許もヘルメットも要らない、歩道を走ることができる電動の1人用の乗り物のことをすべてシニアカーと呼びます。

シニアカーを選ぶときは次の8つのポイントをチェックしてみてください。

  1. 3輪と4輪どちらがいいか
  2. 安全性の確認
  3. 自分の体にサイズが合っているか
  4. 扱いやすさ(操作・乗り降り)
  5. 利便性(荷物入れ、快適装備)
  6. タイヤの種類
  7. 価格帯
  8. デザインの好み

【1】3輪と4輪どちらがいいか

シニアカーの購入を検討するときに最初に分かれる選択肢は、3輪タイプにするか、4輪タイプにするかです。

  • 3輪のシニアカーはタイヤが前に1個、後ろに2個ついています。前タイヤが1個なのでハンドルを動かしたときに「軽い」と感じるでしょう。そしてハンドルの軽さは、小回りのしやすさにつながります。
  • 4輪のシニアカーはタイヤが前に2個、後ろに2個ついています。タイヤの配置が自動車と同じなので、走行が安定します。デコボコ道でも「恐くない」と感じるでしょう。

デメリットはメリットの逆になり、3輪はデコボコ道が苦手で、4輪は小回りが苦手です。

以上のことをまとめるとこのようになります。

  メリット デメリット
3輪シニアカー
  • ハンドルが軽い
  • 小回りしやすい
  • 安定性は4輪より低い
  • デコボコ道が4輪より苦手
4輪シニアカー
  • 走行が安定している
  • デコボコ道でも安心
  • ハンドルが3輪より重い
  • 小回りが3輪より苦手

シニアの方はぜひ、3輪と4輪の両方を試乗してみてください。また、シニアカーでよく行く場所までの道路の状況を考慮することもおすすめします。

【2】安全性の確認

最近のシニアカーは安全機能が充実しています。

シニアカーは最高時速が6km以下に設定されていて、これは大人の歩行速度程度なので危険度はそれほど高くはないといえます。しかしそれでも重量が100kg近くになる製品もあるので、事故を起こすと大変な事態になりかねません。

そのため安全機能が豊富な製品を選ぶほうがよいと考えることができます。最近のシニアカーの安全機能には次のようなものがあります。

シニアカーの主な安全機能

  • バック走行(後進)の音声案内
  • 「傾斜注意」の警告灯や警告ブザー
  • 握り込み緊急停止(緊急時にハンドルを強く握ると、ブレーキをかけなくても停止する)
  • 曲がるときの自動減速
  • 前方と後方のLEDヘッドライト
  • 障害物を検知したときの減速サポート

これらの安全機能は、種類によって付いていたり付いていなかったりしますので、しっかり確認するようにしましょう。

【3】自分の体にサイズが合っているか

シニアカーには大きさ(サイズ)が異なるタイプがあります。体が大きなシニアが、サイズの小さいシニアカーに乗ると、運転しづらいと感じるでしょう。

シニアカーを選ぶときにチェックしておきたいサイズは以下のとおりです。

シニアカーのサイズのポイント

  • ハンドルの高さ
  • 足置き場の面積
  • 椅子の高さ、幅、奥行き
  • 背もたれの高さ
  • ひじかけの長さ、高さ

試乗してみて「しっくりくる」と感じるものを選んでください。

【4】扱いやすさ(操作方法・乗り降り)

使いやすさでポイントになるのは次の項目です。

シニアカーの扱いやすさに影響する項目

  • 乗り降りのしやすさ
  • 後方確認のしやすさ
  • バックミラーの見やすさ
  • ハンドルの形
  • ボタンやレバーの操作のしやすさ

使いやすさは、シニアカーのサイズだけでなく、自身の体の動かし方によっても変わってきます。

【5】利便性(荷物入れ、快適装備)

シニアカー選びでは、試乗して「しっくりくる」と感じることが一番大切ですが、人によっては毎日使うので便利さも確認しておきましょう。

便利さを検討するときの項目

  • カゴは十分大きいか
  • 荷掛けフックはあるか
  • 車体の大きさは保管場所に収まるか
  • ひじかけは可動式か
  • 充電しやすいか

シニアカーを買い物で使うことが多い人には、カゴの大きさや形状、荷掛けフックの有無は便利さに大きく影響してきます。

逆に、シニアカーを散歩で使うことが多く、ほとんど買い物をしない場合は、大きなカゴがついていると不便に感じるかもしれません。

そして盲点になりがちなのが、シニアカーの車体の大きさと自宅の保管場所の広さの関係です。「大きくて乗りやすいシニアカーだな」と感じても、保管場所が狭いと出し入れに苦労することになり、シニアカーを使うことが面倒になってしまうかもしれません。

また、ひじかけがあるタイプは可動式であると乗り降りが楽になります。

シニアカーは電動なので充電する必要があります。1回の充電で何km走行できるかも、シニアカー選びでは重要なポイントになるでしょう。

充電方法には、充電コード式とバッテリー着脱式があります。

  • 充電コード式は、掃除機と同じように本体についている充電コードを引き出して、電源プラグを自宅などのコンセントに差し込みます。したがって充電コード式のシニアカーの場合は、保管場所の近くにコンセントが必要になります。
  • バッテリー着脱式は、バッテリーを本体から切り離してどこにでも持っていくことができます。着脱式バッテリーなら、シニアカー本体を玄関に置いておき、居間でバッテリーを充電することができます。

【6】タイヤの種類

シニアカーのタイヤには、空気を詰めているエア・タイヤと、ウレタンを詰めているノーパンク・タイヤがあります。(普通の自転車や車に使われているのがエア・タイヤ)

それぞれメリットとデメリットが異なります。

  特徴 メリット デメリット
エア・タイヤ タイヤの内部に空気を詰める。普通のタイヤ。 乗り心地がよい パンクする可能性がある
ノーパンク・タイヤ 空気ではなくウレタンが詰まっている。 パンクしない 乗り心地がエア・タイヤよりは劣る

エア・タイヤは、タイヤに釘などが刺さるとパンクしてしまい、修理するまで走行できなくなることがあります。しかしエア・タイヤは、自転車や車に使われているだけあって、快適な乗り心地になります。

ノーパンク・タイヤは、エア・タイヤと比べると乗り心地が劣るのですが、その代わりパンクを心配しなくてよいので気持ちは楽になるでしょう。

【7】価格

安心して使えるシニアカーの価格は大体30万円から50万円くらいと考えておいてよいでしょう。

種類によって価格差が大きく、使いやすくて便利なシニアカーほど高性能で価格が高くなる傾向がみられます。

そしてシニアカーは、購入する人によって、あるいは住んでいる自治体によって、介護保険が使えたり、補助金を活用できたりします。介護保険も補助金も、負担するお金を減らす効果があるので上手に使いたいものです。

さらに利用者が負担する価格は「新車・中古・レンタル」によっても違ってきます。

※注意
大手ショッピングサイトにて格安販売している海外製の無名車両はトラブルが多いことに加えてサポート体制がないに等しいのでおすすめ出来ません。

シニアカーは正規店からの直接購入が安心です。

【8】デザインの好み

複数台のシニアカーを並べてみると、その形やデザインがかなり違うことがわかります。シニアカーは、人によっては毎日利用するので愛着が持てるデザインを選ぶとよいでしょう。

それでもやはり優先すべきは安全性、サイズ、使いやすさ。シニアカーは歩行のサポートとしての道具ですから使用する際にストレスがない車両であることが見た目よりも大事です。

最新のシニアカーを5台紹介

シニアカーは複数の会社が製造・販売していますが、ここでは以下の5社の最新の製品を1台ずつ紹介します。

シニアカーを製造している会社(アイウエオ順)

  • 株式会社アテックス(以下、アテックス)
  • WHILL株式会社(以下、ウィル)
  • スズキ株式会社(以下、スズキ)
  • トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)
  • 福伸電機株式会社(以下、フクシン)

1台ずつ特徴を紹介する前に、それぞれのモデル名と主な項目の一覧表を紹介します。

  価格(非課税) 大きさ(長さ、幅、高さ) 1回の充電で走る距離 タイヤ
アテックス「電動車いす、マイピアBT43B」 非公開 1,195mm、650mm、1,100mm 30km ノーパンク・タイヤ
ウィル「歩道スクーター、モデルR」 357,000円 1,160mm×535-635mm×868-925mm 17.2km ノーパンク・タイヤ
スズキ「セニアカー、ET4D」 418,000円 1,195mm、650mm、1,145mm 31km ノーパンク・タイヤ
トヨタ「C+walk s」 498,000円 1,185mm、650mm、1,030mm 12km ノーパンク・タイヤ
フクシン「スーパーポルカー、SPX-1」 エア・タイヤ437,000円
ノーパンク・タイヤ447,000円
1,190mm、670mm、1,120mm 28km、25km(運転支援機能付の場合) エア・タイヤかノーパンク・タイヤが選べる

ここで紹介する写真は各社の公式サイトから引用しています。

アテックス「電動車いす、マイピアBT43B」

アテックス「電動車いす、マイピアBT43B」

アテックスのマイピアBT43Bは4輪タイプで、大きさは長さ1,195mm、幅650mm、高さ1,100mmです。新品バッテリーであれば、1回の充電で30km走ります。ノーパンク・タイヤを採用しています。

前部に大きなカゴが付いていて、さらにオプションで後部にもバックを取り付けることができます。杖立てや松葉杖ラックを取りつけることができて、体が不自由な方へのケアが行き届いている印象があります。

※価格は公開していません。

ウィル「歩道スクーター、モデルR」

ウィル「歩道スクーター、モデルR」

ウィルのモデルRは4輪タイプで、大きさは長さ1,160mm、幅635mm、高さ925mmです。新品バッテリーであれば、1回の充電で17km走ります。充電は着脱式です。

モデルRは前輪がほぼ90度曲がるので、後輪を軸としてその場で回転することができます。この小回りの良さは狭い場所で威力を発揮するでしょう。

先進的なデザインであり工具なしで本体を3つに分解できるので、車で運ぶときに便利です。

ただし荷物入れが椅子の下にしかなく、大量に買い物するときは不便に感じるかもしれません。

価格は357,000円(非課税)です。

スズキ「セニアカー、ET4D」

スズキ「セニアカー、ET4D」

スズキのET4Dは4輪タイプで、大きさは長さ1,195mm、幅650mm、高さ1,145mmです。新品バッテリーであれば、1回の充電で31km走ります。ノーパンク・タイヤを採用しています。充電はコード式です。

前部に20リットル入るかごがついています。ひじかけは可倒式なので乗り降りに障害になることはないでしょう。

オプションでステッキホルダーや松葉杖ホルダーに加えて、酸素ボンベ・ホルダーを付けることもできます。

シニアカーの定番人気であり福祉車両としての性格もあります。

価格は418,000円(非課税)です。

トヨタ「C+walk s」

トヨタのC+walk sは3輪タイプで、大きさは長さ1,185mm、幅650mm、高さ1,030mmです。新品バッテリーであれば、1回の充電で12km走ります。ノーパンク・タイヤを採用し、充電は着脱式です。

スタイリッシュで未来的な見た目ですが、椅子の下に、スーパーマーケットの買い物かご(33リットル程度)がすっぽり入ります。

乗車ステップ(走行中に足を置くところ)の高さが130mmと非常に低く設定してあるので乗り降りがしやすそうです。

価格は498,000円(非課税)

フクシン「スーパーポルカー、SPX-1」

 

フクシン「スーパーポルカー、SPX-1」

フクシンのSPX-1は4輪タイプで、大きさは長さ1,190mm、幅670mm、高さ1,120mmです。新品バッテリーであれば、1回の充電で25km走ります。

エア・タイヤの直系は320mmと大型でフクシンは「段差のある出入口やデコボコ道路でもスムーズな移動を実現します」とアピールしています。

全部のかごの容量は20リットルあるので、買い物には十分でしょう。

充電はコード式です。タイヤはエア・タイヤとノーパンク・タイヤのいずれかを選ぶことができます。

価格はエア・タイヤが437,000円(非課税)
ノーパンク・タイヤが447,000円(非課税)

【まとめ】生活スタイルに合わせられる

シニアカーの選び方と、最新モデルをご紹介しました。

シニアカーは、一度使うと「もう手離せない」と感じる方がいるほど便利な乗り物です。体が少し不自由になって外出の頻度が減ったシニアが、シニアカーによって再び活発に活動できるようになることもあります。

そしてシニアカーの製造会社は、シニアのニーズに応えようと改良を加えています。今は、シニアが自分の生活スタイルに合わせてシニアカーを選べる時代になりました。

ぜひ複数台を試乗してみて、最適な1台を見つけてみてください。

「ちなみに」移動の足が欲しいけれどシニアカーに抵抗がある方の選択肢

シニアカーは歩行者の扱いになるので車道は走行できません。あくまで足腰の衰えから歩くのが困難になった方のサポート車両です。

このことから「シニアカー=お年寄り」という意識が強く根付いているため、若々しく過ごしたい方にとって乗りたいと思えるものではありません。

また少しずつスタイリッシュなデザインのシニアカーも出てきてはいますが、そのそも時速6km/h以下しかスピードが出ないため、自分の足で歩ける人にとっての移動手段にはなりにくいでしょう。

そんな中で近年「特定小型原動機付自転車」(以下、特定小型)がミドル・シニア世代に注目されています。

特定小型は16歳以上であれば免許不要で運転することが出来る電動車両。最高速20km/hで車道走行が可能となため、免許返納後の移動手段として購入するご家庭が増えています。

そんな特定小型ですが、弊社ELEMOs(エレモーズ)で販売している4輪タイプの車両が好評をいただいております。

自動車とシニアカーの間を担う車両として選ばれている特定小型四輪。どんな乗り物なのか気になるようでしたら以下の記事も合わせてご覧くださいませ。

免許不要で乗れる四輪車の世界の最新情報

© 2023 elemos.inc